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「 伝えたい ~月越しの想い~ 」



見上げれば、夜の闇の中に輝く、月



夜でも太陽からの光を反射し、光り続けるそれを見るのが僕は好きだ。



夜の闇という孤独のなかに居ながらも自分を持ち続けようと光り続ける月…‥その姿を自分に重ねてみたくて。



でもそれが夜でも光り続けられるのは、太陽のおかげなんだ。



だから僕は、それが孤独の中で凛といられるように光をくれる、太陽が好きなのかもしれない。





あの人も、今日の満月を見てるんだろうか。




満月




――――――ある日、ある夜の、僕と私の物語――――――






私は新宿のビル群のなかを駅を目指して歩く。



もう日が落ちて暗いのに、建物の明かりでこの街は夜でも明るい。



上京して2年。



自分なりに頑張ってきた。



でもまだ前が、先が見えない。



前へ、先へ進んではいる気はするが、忙しさでそんなこともかき消されてしまう。



交差点の信号の赤信号で立ち止まる。



ふと、空を見上げると、新宿は明るすぎるのか星は見えなかったが、月が見えた。



満月だった。





・・・月が好きな、あの人も見てるのかな。






・・・





・・・





・・・




・・・





・・・






東京の12月は、僕が住んでいた地元である長野よりも幾分暖かい。



暖かい、と言っても薄着でいられるほどではないけれど。



「外に出るのが億劫にはならない」ほどの寒さってやつである。



とくに行く当てなど無いけれど外に出た僕は、夜風に吹かれ、少し考え事。



夜の空に浮かぶ月が照らす、住宅街の道。



どことなく風情を感じるその景色。



けれどなにか物足りない。



この心の空白感は、この侘しさは、一体何なのだろう。




なにが足りないんだろう。




…答えは解ってる。



あの人は今、何をしてるんだろう。






・・・





・・・





・・・





・・・





・・・





電車から降りて一息。



でもここで立ち止まったら、きっと大渋滞。



早く改札を抜けなくちゃいけない。



眠らない街…とかよく言うけど、本当に眠ってないのは人なんだろうな、と思う。



でもきっと、あの人ならこの忙しい街を、



「眠ったことすら、忘れてる街」だ、なんて例えるんだろうな。



私は、駅を出て足早に自宅へと向かう。



こんな綺麗な月が出てる日は…月が出てる日は…



気がつくと、私はバックのなかの携帯電話に手を伸ばしていた。



あと2つ3つボタンを押すだけで、あの人に繋がるのに躊躇。



はぁ・・・



私たちはこの月のいる同じ空で繋がってるんだ、



なんてあの人が言いそうにもない三文のセリフで私自身に言い聞かせてた。





・・・





・・・





・・・





・・・





・・・





いくら僕が寒さなれしてるとはいえ、さすがに22時も過ぎると寒い、というか肌が冷え切ってる気がする。



ついついポケットの中のタバコに手が伸びる。



僕が吸うタバコは「セブンスター」。



言わずと知れた有名な銘柄ではあるもののタール値は14と意外に高かったりする。



お気に入りの、満月が輝く空。



お気に入りのジッポで火を付けて、お気に入りのタバコを吸う。



セブンスター



そういえば、セブンスターが発売された昭和44年。



この昭和44年、我々人類が宇宙に飛び立ち、アポロ11号が月面着陸に成功した年でもある。



人類はそれまで幾度となく月へと宇宙船を飛ばしてきた。



月に届けと。



あの近くに在りそうで、いつだって手の届きそうな距離にある月に、ただひたすらに届けと。




だから僕は、煙を月へ向かって吐く。



高く、高く、月まで昇っていけと。



でもやっぱり、月まで届かなくていいから、僕の吐いた煙があの人に届けばといいと思う。



僕がタバコを吸うとしかめっ面をする、あの人は気づいてくれるだろうか。






・・・





・・・





・・・





・・・






・・・






未練がましくも電話を掛けようとしないのに、携帯電話を持ちながら歩く私。



惚れた腫れたの仲だとか。



駆け引きだとか。



次のデートの約束だとか。



今はただ、あの人を近くに感じたい。



私がダイヤルをする、まさにその時に、私の携帯電話が震え出す。






・・・





・・・





・・・





・・・もしもし?





あ、もしもしっ!







・・・





・・・





・・・





君の声を聞けば、僕のすぐ近くに君が感じられて。



君が笑えば、僕も嬉しくなって。



君の声が寂しくなれば、僕は優しくなって。




月が夜の暗闇に輝くには、太陽の光が必要で。



今日も僕がこの世界でちっぽけにも光っていられるのは、君が僕を照らしてくれるから。



でも、こんなこと言葉じゃ言えないから、そっと心のなかで呟いておく。



ありがとう。






・・・








・・・









・・・





彼の声がする。



それだけで嬉しいのに、それだけを伝えられればいいのに、言葉が出てこない。



そんな言葉に詰まってる私をまるで目の前で見ているかのように、彼は私に優しい言葉をかける。



私はただその言葉に、頷くことしかできない。



でもそれだけで胸の中が暖かくなる。



電話口から、彼が「ふー」っと息を吐く音が聞こえる。



きっと、またタバコを吸ってるんだ。



本音を言えば、タバコをやめて欲しいけど。



私のコートに付いた彼のタバコの臭いが、最近は嫌いでもない。



臭いがするたびに、なんだか彼が傍にいる気がして。






・・・






・・・







・・・







彼が電話を切る。




今日もやっぱり私から先に切れなかった。




でもそれでいい。





私から、彼との時間を終わらせるなんて出来るわけないから。









空を見上げれば、満月がある。





彼は月が好きだというけど、まだその理由を教えてもらっていない。





今度会った時に聞いてみようかな。










そんなことを思ってたら、彼のタバコの臭いが鼻をかすめた。








                ――――――fin――――――

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[ 2012/12/07 17:30 ] ブログ | TB(0) | CM(2)

っぺっぺっぺっぺっぺ おえ おえぇぇ おええ くせぇ・
[ 2012/12/07 16:03 ] [ 編集 ]

つるりん

・・・(´・ω・`)?・・・(つд⊂)ゴシゴシ・・・・・・(´・ω・`)???
[ 2012/12/10 01:54 ] [ 編集 ]

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